昨日「その時、裁判官は言った」という番組を見ました。
17歳の男の子が祖父母を殺してしまうという悲しい事件でしたが、その背景は想像を絶するものでした。母親と幼い妹の生活を守るため、17歳の彼は母親の指示通りに金銭をもらいに祖父母宅を訪れ、断られた結果殺害してしまったという悲しい事件です。少年は小さい頃からネグレクトを受けていました。
殺害した彼の行為は悪いけれども、彼の育ってきた環境に同情せざるを得ないと思いました。
冷静に考えると「まさか。うそでしょう。」と思う環境。
ですが、そのような環境にいる子ども達は実際に存在しているのですね。
地域交流が減少した昨今、このような家庭は増えて行くのではないかと想像します。
よく聞く話ですが、
虐待を受けて壮絶な環境にいた子どもたち自身は、母親を恨んではおらず
むしろ親を守ろうとさえする、ということです。
なぜでしょうか。
それは、幼いながらにもその親自身の孤独や悲しさに子ども自身が気づいているからではないかと私はおもうのです。
親自身も自分からそのような環境を作り出しているわけではありません。誰しもが痛みを伴い命がけで出産するのですから、はじめから悪い環境にしてやろうなどとイメージするわけはないのです。
もし自分が母親に抱きしめられたことがなかったら、、、
親に視線を一度も合わせてもらえなかったとしたら、、、
想像できるでしょうか。そのような環境でそだった親であれば、自分の子どもにご飯を作ることや抱きしめる事は容易な事ではないのです。それができるようになるためには、多大な愛と周りの長い支援が不可欠です。
その親自身もまた、その親の被害者だった。
悲しいですが虐待は連鎖であることが多いのです。
それを止めるにはどうすれば良いでしょうか。
実際に、子どもが虐待を受けて泣き叫んでいたとします。
「かわいそうに」
「子どもを産んだのだからきちんと見てあげなきゃだめでしょう!!」
多くの方は弱者である子どもに目線を向けます。
ですが忘れないで欲しい。ケアが必要な人がもう一人そこにいるのです。
虐待をしてしまった親です。
もちろん、虐待をうけていた子どもを保護するのは第一条件です。
ですが、親も同時に愛情を必要としています。そこに至るまでの経過をまずは聞いてあげないといけません。誰かが受け止め、抱きしめてあげる必要があると私は思うのです。
水道管が破裂して、水がたくさん漏れてきた時、こぼれた水をただただ拭き取っても根本的には解決しません。まず、水の元栓をしめ、破裂してしまった原因を突き止めてからその傷部分への治療が必要なのです。
親もまた、愛情が必要な存在です。
いや、親こそ癒やされていなくてはいけない。
心の中の傷に気づくことができれば、多くの問題が解決します。
大切なのは、信じること。
こどもが母親を強く信じるように。
連鎖は断ち切れること、傷は必ず治るということ、
わたしは最後まで信じていたいです。
0コメント