専門家による性教育を義務教育に!

いのちのはなし

いや、性教育

といったほうがいいかな。



友人に声をかけられて時々話しをしに伺っています(感染対策のため募集はせず少人数のみにて開催)。


「性教育って難しそう」


よく言われます。そうですね。


私たちの世代は性教育というものをちゃんと受けていない事がほとんどですから、難しくて当然です。

実はわたしたち助産師も、現場にでてから勉強することが多いです。

助産師になるには、まず看護学校を卒業して国家試験に合格してから改めて助産学校を1年間受講します。もしくは看護大学で助産師を目指す場合は4年間の間に、看護学と助産学を学ぶことになります。

全然時間が足りないのです。。。

体の仕組みだけではなくて疾患の勉強が入りますから、その量は膨大です。


医者みたいに6年間くらい学ばないと、人間の体を網羅することなんて出来ませんね。


なのでおそらく、性教育という分野は、助産師の場合の多くは基礎的なこと以外は卒業してから学ぶことがほとんどではないでしょうか。


いま、この性教育に熱い視線が送られています。


その理由は、簡単なことです。


性の問題で傷ついている方や悩んでいる方が実は多く存在し、そこから目を背けることが難しくなってきたからではないでしょうか。

生きている限り、性は誰にでも存在します。

人間にある基本的欲求のうち、食べる・寝るのような生理的欲求の中に当たり前のように存在する「性の欲求」(マズローの欲求5段階説より)。

他の欲求は様々な対応策があるのに比べ、現代に至るまでの間、目をそらされてきた欲求と言えるかもしれません。

性犯罪も多様化してSNSなど身近に誘惑が存在している昨今、性はタブーな話し、という考えを貫くにはついに限界が来たのでしょう。



さて、性教育の依頼がわたしにあった場合、まずはなぜそれを講義してほしいか。

という質問を依頼者さまにお聞きするようにしています。

なぜかというと、それは人格形成に影響を及ぼすような、とても幅広い教育だからです。


そしてこのような返事が返ってくることが多いです。

『いのちの大切さを理解して欲しい』

『性犯罪者から守って欲しい』

『自分を大切にしてほしい』


わたしはそのようなお答えを聞いて、すでに感動しています。


なぜならその言葉から、依頼者様がお子様を大切になさっているのだなぁと感じるからです。


依頼してくる時点でもうすでに、いのちの大切さを知って欲しいという思いは完結しており、子どもにも伝わっているのではないかと思うほどです。


あるいは、

日頃は「勉強しなさい!友達を大切にしなさい!」と叱ってしまうけど、

本当は自分のことのように子どもを大切に思っていて、それが伝わっているか確認したいのかもしれません。

いずれ大きくなって自分で色んな判断をするようになるまでに、自分を守る方法を伝えて欲しいのかもしれません。

こんなに小さい時から大切にされて来たいのち。『あなたのことを大切に想っている』そんな子どもへのメッセージを親だけでなく間接的にも、伝えてほしいのかもしれません。


いずれにせよ、もうすでに大切にされているのだなあと感じ、こころが暖まります。






ここからは反対の話しです。

読むことすら辛い方もいるかもしれません。

(どうぞ無理をなさらずに・・・)

いきいきと目を輝かせる子どもたちがいる一方、性教育の際に、こちらに目を向けることすら出来ない子どもがいます。そんな現実を、私は見なくてはなりません。

多くの子ども達は目を輝かせて聞いているのにも関わらず、「愛されている」「守られてきた」そんな言葉に傷つき、孤独を感じてしまう子どもも少なからず存在するのです。

親に抱きしめられなかった子ども達が、性教育をいきなり理解できるでしょうか。

避妊や性犯罪予防などは相手を大切に想い想像する、という気持ちが根底にあります。

「あなたなんて産まれて来なければ良かった」と親に言われた子どもが、

第三者から「あなたは大切にされてきた」「相手のことを考えて避妊しなさい」なんてきっと聞きたくもない言葉でしょう。

性教育が、避妊の指導や性犯罪加害者の撲滅にも向けてしている活動であったとするならば、そんな現実を知ってから、講義に望まなくてはなりません。


そして私が思うのは、その二つは、

思ったよりも近くに存在しているという事。


さまざまな環境の人たちがこの社会には存在しており、その双方を網羅しなくては全体の改善には到底及ばないのです。

全体的な性の知識の普及が望まれます。


そして、年々その対象年齢は下がってきているという現実も知る必要があります。


犯罪がらみの性の描写が、子ども達の近くにあり正常な性の知識を脅かしています。

我が家は危険動画は見れないから、といっても、隣の子が見ていてそこから入る情報も無視は出来ません。意識している家庭もいれば、性犯罪が起こっている家庭もあるのですから。


望まない妊娠についても家族の反応は全く違います。

妊娠したらすぐに見守ってくれる親御さんもいれば、

おろしなさい、と簡単に言う親御さんもいる。


それだけの様々な家族がいる中、

性教育をしても、メッセージが心に届く子もいれば、届かない子もいるのは容易に分かる事です。

では、届くこどもにだけ届ければいいのでしょうか。。。

いや!それは違います!


どんな子にも、伝え続ける必要があります。

様々な家庭環境を理解し想像し、どのように伝えていけば良いか模索し続ける必要があります。

そして、みなさんにもそうあって欲しいと考えています。


誰しもが平等に正しい知識を得ること。

これが大事なことです。



性教育は平等であるべきなのです。

それは、LGBTQの教育にもつながっていきます。



だからいま、ぜひ考えて頂きたい。

小中学校の義務教育に、専門家による性教育を加え、様々な分野で子ども達を支えていくことは不可能でしょうか。

性については助産師が伝え、犯罪については警察が伝え、心身の健康については保健師や臨床心理士などの手を借りる。その現場で様々な人生を実際に見てきている他職種で、みんなで伝え合う事はできないでしょうか。



性教育は、平等にみなが受けるべき教育です。



いま現在、学校からの性教育の依頼は何割でしょうか。

助産師会や市に依頼のあった学校は、、、、そんなに多くないのが現状です。


性の具体的な内容が知れることが怖いですか?

性行為について知ることで、興味が湧いてしまうのではないかと不安ですか?

WHOの研究で、性教育は受けることでむしろ初体験は遅くなるということが分かっています。


性の話はタブーではないですよ。


そもそもいのちはみな、性から生みだされています。

性教育をした後の保護者さまとの交流会は、いつも時間が足りなくなります。

実は、性はわたしたちの生活に多く存在しているからです。

性をなかったことにして、何かが解消されますか?

現に、産婦人科には性の悩みの限界を迎えた方が溢れています。

望まない妊娠で、自らの体に負担を与えてしまっているかたがたくさんいるのです。



学校の性教育で、一歩踏み込んだ性教育がなされるのは怖いですか?

たしかに様々な家庭がある中で教職者たちはただでさえ頭を抱えているかもしれません。


ですが、

思春期には、子ども達の体がどんどん変化します。

それは新しいいのちを作るための準備なのです。

その変化がなぜ起こるのか。

これからどうなっていくのか。

体のなかで何が起こっているのか。

教職者だけではなく、専門家の知識を借りて、一緒に考えていきませんか?

それは様々な職業を知るという社会勉強にもつながります。



保護者さまもどうぞ声をあげてください。



生きていることは、偶然や曖昧なことではありません。

どのようにいのちが授かり、どのように育ってきたか、

産まれてきた時にする一回目の呼吸がどれほど重要で、どれほど奇跡的なことか。

そして、いったいどれだけの子どもがいのちを落としてしまうでしょうか。

実際いのちをつくり育むためには、さまざまな準備が必要なのです。



全体的に性の知識を持ってもらい、

全体的に底上げしていく。

依頼してきた方だけに講義するのでは無く、みなに平等に伝えていきたい。

そこに格差があってはならないのです。

それは、みな平等に産まれてきたいのちだから。



それこそがわたしが望む性教育の形です。



どうか近い将来、そのような性教育が実現しますように。

そして、すべての子どもがその子らしく自分の人生設計をすることができる、そんな世の中が来ますように。。。




※性教育は事前に打ち合わせを行い、依頼者さまの希望や、

 子ども達の背景にそって講義内容を模索していきます。

 ぜひ、ご相談下さい。わたしは勉強中ですが、科学的な性教育の勉強にとりくむ助産師が周りにたくさんいます。

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人生によりそう 齋藤出張専門助産院

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