自宅出産という選択

こんにちはお久しぶりです


最近は鎌倉市での仕事と

先輩助産師の助産院に通われているお母様のお産のお手伝い

がスタートし少し緊張した日々をすごしていました。


皆様はいかがお過ごしでしたでしょうか(^^)?


フランスから帰国して思うこと。

2年間主婦という期間を過ごしてみて分かったことは、

自分の時間や家族に割く時間はとても有意義であったということでした。


今思えば双子を妊娠したときも30週くらいまでクリニックでのパートを務め、

双子が一歳くらいには復帰していましたから、

ゆっくりした自分への時間というのは皆無な時の過ごし方をして参りました。


忙しい時間というのは自分と向き合う時間を削ってしまいます。

器用な人はきっとそんな時間を作りながらこなしていけるのでしょうが

不器用な私はどこに重きを置いたら良いのか分からず、ただただ毎日をこなすということに必死でした。



【自宅出産】


去年のいまごろ、「自宅出産を手伝ってくれないか」

そんなお声をかけていただきました。

それはそれは尊敬する先輩であったため、

なんとも嬉しく、是非!!と即答したいところでしたが、、、


いままで私が体験した怖い経験、

赤ちゃんが亡くなったり、

産まれてくるときにお母様が体調急変してしまったり、

そんな経験が頭の脳裏によぎり

「わたしには無理です」と断ろうと思いました。


それはあなたには向いていないよ。


そう誰かが言ってくれたらいっそう楽になるので

いままで一緒に働いた先輩に聞いてみたり

親友に相談してみたりしましたが、


だれもやめときなさいとは言ってくれず

むしろ「それはあなたに必要な仕事のような気がする」

「きっと今までしてきたことが繋がるんじゃない」「楽しそう」

そういった前向きな意見でした。


わたしは帰国する際に一つの決心をしていました。


これからの人生は神様のご意志に従う


ということ。


信仰をもっていないかたにとれば、ちょっと怖いかも知れませんね。

でもこれは私が自分の意思でもがき苦しみ様々な選択を迷い間違ってきた結果、

そう考えようと思ったのでした。

自分が何をしたいかではなくて。

神様に任せて生きていくことは私にとって最大の幸せなのだと気付いたからでした。

(マザーテレサから影響を受けています)


だから、たくさん祈ったあとにこの仕事を引き受けることに致しました。



その決断から半年くらいが過ぎ、

その助産院のお母さまのお腹が大きくなり

予定日から数えてあと一ヶ月という頃

わたしも妊婦健診に同行させていただくことになりました。



いつもの自宅で

いつもの姿の家族様といっしょに胎児心音を聞きます。

「おおきくなったね」

「いま動いているね」


そんな何気ない会話も病院やクリニックとは違っていました。

やわらかい表情でリラックスしています。


3Dや4Dなど目で確認できることもたくさんある現代の妊婦健診ですが

お産の流れは昔から何も変わっていない自然なもの。

お腹を実際に触り感じとる診察は、無理がなく本来お母さまが求めている診察なのでは、

とさえ思いました。(もちろん大事な週数は病院に検査に行き受けていただいています)


毎回同じ助産師がお腹をさわり、

あかちゃんに声かけをして、

ご家族のご質問にもおこたえする。

その時間はそのお母さまだけのための時間。

「足がむくんでいますね」とマッサージしたり

「腰はどう?」「昨日は眠れた?」

「おねえちゃんの学校生活はなれた?」

そんな質問も周りに気兼ねすることなく交すことができます。


自宅でどのように暮らしているのか

旦那様はお産に対して考えはあるか

昼間だったら電話で呼ぶのか

夜間のお産のときは家族を起こすか

お産のとき上の子ども達はどんな風に一緒に過ごすか

そんなことをお母さまと話しながら

上の子達が一緒に胎児心音計の発する音に誘われ興味深く覗いてくる。

上のお子様も興味津々です。

お腹の赤ちゃんがいまどんなふうにここにいて、どれくらい声が聞こえているのか。

すべて答えることが出来るから

わたしも一緒に家族になったような

そんな近い感覚でした。



お産は一体何日にくるんだろう。


お産はいつくるかわからない。

夜の0時という事もあるし、わが子を送り出す朝かも知れないし、私がお風呂に入ってる時かも知れない(笑)。

お酒をたち、遠くのスーパーに買い物にいくのもやめて、美容院や友人との約束も控えていました。

わたしは携帯を握りしめ

いまかいまかとドキドキ。

待機して、はじめの一週間は、

こんな仕事が本当に出来るのか、わが家族は対応してくれるのか。

そんな不安と、

母体が健康で児も安全にお産にのぞめるのか。

そんな不安でいっぱいでした。

次の一週間になると、

わが家族ももういつくるか分からないわけだから任せるしかないわ。

という雰囲気に変わりしだいに肝が据わってきました。



電話がなりました。



「もう産まれるから来て!」



どきどきしながらお母さま自宅に到着すると

お産の準備がととのった和室にマットとシーツが敷かれており、お母さまが横向けにいらっしゃいました。


お母さんの手をにぎりしめ応援している上のお子様。

「わたしは絶対ここにいるからね」

「わたしはママから離れないから」

赤ちゃんの頭が見えるようになったときもその子はお母さまの手を握りしめ

一緒に力を入れていました。陣痛が治まったときは一緒に静かに力を緩め、

時折「ママ大丈夫だよ」と励ましの声をかける。

その子の手がなんて心強かったでしょうか。


もう一人のお子様は部屋に入ったり

下の子の様子をうかがったり忙しく観察し働いていました。

大丈夫かなもうすぐかな。その子のドキドキが私にも伝わってくるようで嬉しかったです。

赤ちゃんの頭が見えたよー。いつも動き回っていたのに、そんな時いつも良いポジションにいる。

助産師で言えば直接介助(実際にお母さんの産道を観察し手を添えて赤ちゃんの様子を調節する介助者)向きですね!

胎盤からの拍動が止まり、お臍を切る時も一番良いポジションにいて触ったり手を添えたりしていましたから(^^)


もう一人いたお子様はとても小さかったのですが

これまたびっくり。

いつも妊婦健診の時にお母さまに甘えるように覆い被さっていたのに

お産の時はとても冷静でした。

直感的にいまお母さんは大きな舞台で大切な事をしていると分かっていたのでしょう。

他の部屋にいってソファーにすわったり、お父さまとゆっくりとても落ち着いて過ごしているように感じました。


赤ちゃんが産まれてくるよーー!!


そんなときは助産師は息が止まるくらい全集中しています。


その一瞬に、

赤ちゃんが第一呼吸をすることができるか

産道が傷つかないか

出血が止まらないなどショック状態にならないか・・・

が詰まっていますから。


祈って祈って祈りまくる瞬間です。


「おぎゃー!!」


無事にあかちゃんが泣きお母さんの体もすーっと楽になりました。


胸の上に赤ちゃんを乗せ

ゆっくり初めての顔合わせです。


「そういう顔をしていたのね」

「お腹の中で動いていたのはあなただったのね」


いままで目で見ることが出来なかった赤ちゃんとの出会いです。


本当に素晴らしいお産でした。


一緒にその場にいさせてくださったことを心から心から幸せに思います。

そして忘れたくないので書かせていただきました。

ありがとうございました。




追伸

最後に私が一番感動したおはなしを。

産後1時間くらいがたったころでしょうか。

お子様達みんながお母さまから離れ、一仕事終えたぞーっと言う感じに腹ごしらえをしていたとき、旦那様が静かに部屋に入ってこられました。


お腹の上に赤ちゃんを乗せ、すべてのエネルギーを出し切ったという表情の、まぶたが少し重たそうなお母さまの隣で旦那様はこう言いました。


「元気な子を産んでくれてありがとう」


そして優しく、赤ちゃんを抱くお母さまに触れました。


わたしは涙をこらえるのに必死でしたよ。



家族の始まりはお母さまとお父さま。


別々の二人がある日出会い、仲良くなり、結ばれる。

そうして出来るのが赤ちゃん、いのちです。


これは紛れもない事実。


そこをいつまでも忘れず、大事にされている気持ちが伝わってきて、心が熱くなりました。


本当におめでとう。

これからの人生が実り豊かなものとなりますように、心からお祈りしております。





※ご家族の方や助産院に許可をいただき投稿する運びとなりました。感謝申し上げます。

この投稿をみて自宅出産の事を少しだけ知っていただけたら嬉しいです。ですが、自宅出産をするには医師の許可が必要です。私自身、双子でしたし病院での出産でございました。お産には色々な形があり、どれも素晴らしいものです。皆様にとってもそうでありますように・・・そんな祈りをこめて書かせていただきました。

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